[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (759KB) [会員限定][検索結果へ戻る]

日外会誌. 118(3): 286-293, 2017


特集

外科医に求められる倫理

5.小児外科における倫理

大阪発達総合療育センター 小児科

船戸 正久

内容要旨
近年小児外科を含む医療技術の急速な進歩は,従来救命不可能であった病気に対しても医学的治療介入をし,ときに完治できるようになった.一方予後不良で回復不可能な末期患者に対しても機械的な操作(人工呼吸器など)により半永続的に延命可能な時代となった.この事実は,患者の生と死が自然な形で経過するのではなく,高度に発達した医療技術により操作できる人工的な過程に変わってしまったことを意味する.
こうした中「本人の最善の利益と尊厳」を中心に本来傷害行為にあたる医的侵襲行為をどこまでendlessに継続するのかという倫理的課題が,現在多くの臨床現場で問われている.また現在小児外科を含む周産期医療の分野では,出生前診断後の対応が益々重要な倫理的課題となっている.染色体異常など予後不良児に「どこまで侵襲的治療介入を行うか」が問われており,大きな倫理的ジレンマとなっている.その基本的課題は,「どのように予後不良な重症児のトータルケアを多職種協働で大切に支援するか」である.

キーワード
臨床倫理学, 侵襲的治療介入, 治療選択, 最善の利益, 協働意思決定

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。