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日外会誌. 118(2): 168-172, 2017


特集

外科診療におけるチーム医療の現況と展望

6.NSTによる栄養サポート

大阪大学 医学科教育センター

和佐 勝史

内容要旨
Nutrition Support Team(NST)の基本的な理念は,医師,管理栄養士,薬剤師,看護師,臨床検査技師など多職種のスタッフが一つのチームを構成して,それぞれの専門性を活かしながら患者の栄養管理を実践することで,治療成績の向上と予後の改善を図ることにある.1968年に,米国の外科医Stanley J. Dudrick博士が短腸症候群症例において中心静脈栄養法の成功例を世界で初めて報告して以来,臨床栄養は飛躍的に進歩した.外科領域においても,術前の栄養状態や栄養管理が術後合併症の発生率や予後と密接に関係するとの多くの研究成果が報告されており,術前の栄養評価とそれに対応する適切な栄養管理を実現する意味でもNSTの役割は大きい.また,病態別の栄養管理に関する概念が広く浸透し,それぞれの病態に応じた輸液剤,アミノ酸製剤,経腸栄養剤が開発されている.しかし,栄養管理の困難なハイリスク症例では,病棟スタッフだけによる栄養管理には限界がある.NSTが参加することにより,インピーダンス法を用いた体組成計による全身の筋肉量,脂肪量,水分量の評価,間接熱量計での安静時消費熱量の評価など,より高いレベルでの栄養管理が可能となる.今後のNSTの新たな役割として,医療系学生,研修医,メディカルスタッフに対する臨床栄養教育が重要になっていくと考えられる.

キーワード
NST, 多職種連携, TPN, 術後合併症, 臨床栄養教育

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