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日外会誌. 117(5): 376-380, 2016


特集

内視鏡外科手術は新たなステップへ

5.NOTES

1) 大分大学 消化器・小児外科
2) 天心堂へつぎ病院 
3) 大分大学長 

白下 英史1) , 衛藤 剛1) , 安田 一弘2) , 猪股 雅史1) , 北野 正剛3)

内容要旨
NOTES(Natural Orifice Translumenal Endoscopic Surgery)の臨床応用の現状と今後の展望についてまとめた.NOTESは2007年から本格的に臨床応用が始まり,世界中でこれまでに数千例に行われている.胆嚢摘出術や虫垂切除術を中心に腹部外科手術の多くがNOTES手技により施行されている.手術は内視鏡デバイスの限界から,経腟ルートを利用した腹腔鏡補助下のhybrid NOTESとして行われることが多い.また健常な臓器を傷つけず,術野に到達し手術を行うPOEM(PerOral Endoscopic Myotomy)や経肛門的直腸切除術などのdirect-target NOTESは手術対象臓器以外のアクセスルートの閉鎖の必要がないことや健常臓器を傷つけないことから急速に普及している.いずれの手技も合併症は腹腔鏡下手術と同程度で安全に導入されているものの,悪性疾患にも行われることも多く,長期的成績の評価が期待される.わが国では,臨床登録制度が導入されており安全に臨床応用が行われている.また,EFTR(Endoscopic Full Thickness Tumor Resection)やPOEM,粘膜下トンネル法など高度な内視鏡治療の技術が必要な手技が特徴である.自然孔を利用した軟性内視鏡による体腔内の手術であるpure NOTESの実現には機器開発と同時に社会のニーズや体表の創を減らす意義を明らかにする必要がある.今後,本領域の研究の進歩により新たな低侵襲治療の開発や内視鏡治療の発展が期待されると思われる.

キーワード
経管腔的内視鏡手術, NOTES(Natural Orifice Translumenal Endoscopic Surgery), direct-target NOTES


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