[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (335KB) [会員限定][検索結果へ戻る]

日外会誌. 117(5): 358-363, 2016


特集

内視鏡外科手術は新たなステップへ

2.LECS(Laparoscopy and Endoscopy Cooperative Surgery)

東京大学 消化管外科

愛甲 丞 , 野村 幸世 , 瀬戸 泰之

内容要旨
これまで胃粘膜下腫瘍に対する胃局所切除術では,腹腔鏡下に楔状切除が行われることが多かったが,腹腔鏡・内視鏡を併用した新しい胃局所切除法としてLECS(Laparoscopic and endoscopic cooperative surgery)が広まっている.さらに近年は,切除の際に胃の内腔を開放させないNEWS(Non-exposed Endoscopic Wall-inversion Surgery),CLEAN-NETなどの関連手技が,開発・報告されている.腹腔鏡・内視鏡の併用により,腫瘍を胃内外両面から観察でき,正確な範囲診断,過不足のない切除が可能であり,より低侵襲な手術が可能となる.そのため術後のQOL(Quality Of Life)の向上が期待される.Classical LECSでは,内視鏡下に粘膜・粘膜下層を亜全周性に切開した後,腹腔鏡下に漿膜・筋層を切開し,自動縫合器を用いて腫瘍を切除し縫合閉鎖する.NEWSでは,腹腔鏡下に漿膜筋層を切開し,胃壁を内反するように漿膜筋層を縫合した後に,内視鏡的に粘膜・粘膜下層を切離,腫瘍を経口的に摘出する.主な適応疾患はGIST等の胃粘膜下腫瘍であるが,早期胃癌の適応へ向けた手技開発も期待されている.また,十二指腸や大腸などの胃以外の臓器の疾患への応用も試みられている.エビデンスの蓄積は未だ乏しいが,腹腔鏡と内視鏡の併用というコンセプトは応用範囲が広く,内科・外科の協働により今後さらなる手技開発・普及が望まれる.

キーワード
LECS, NEWS, 胃粘膜下腫瘍, GIST

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。