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日外会誌. 117(4): 324-328, 2016


会員のための企画

小児内視鏡手術の現在と未来

名古屋大学大学院 医学系研究科小児外科学

内田 広夫

内容要旨
小児内視鏡手術は欧米にやや遅れて始まったが,その後急速に広がった.成人と比較して術後大きく成長発達する小児にこそ,低侵襲手術は大きな意義がある.単に創部が小さいというだけでも,体の成長を阻害せず,また大きな傷というハンディキャップを背負わずに済むという意味がある.鎖肛などの疾患に対する内視鏡手術により,より機能が温存されることが期待されているが,現時点では機能がより改善したという確信は得られていない.小児外科疾患の多くがいわゆる稀少疾患で,たくさんの経験を積むことは難しいが,ほとんどすべての開腹,開胸手術は内視鏡手術で行いうるようになった.技術革新の進行度を示すハイプ・サイクルの中で,自分たちがどの位置にいるのかを自覚し,古き良きもの認めながら,新しい物を取り入れる柔軟性が求められている.すなわち結果を検証し,謙虚に進むことが望まれている.
今後は新しい技術革新を小児から成人に広めることができれば素晴らしい.手術,特に内視鏡手術は医療機器の進歩により大きく変貌し,進化しうるため,手術手技のみならず,技術革新を求め,努力を重ねる必要がある.

キーワード
内視鏡手術, 低侵襲, 小児, National Clinical Database, 医療器機


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