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日外会誌. 117(4): 323, 2016


会員のための企画

「小児内視鏡手術の現在と未来」によせて

国立成育医療研究センター 小児外科

藤野 明浩

内容要旨
内視鏡手術は医学の歴史の中では最近に始まったものであるが,近年の様々な医療器機の進歩とともに急速に守備範囲を広げ,今なお従来の外科手技では届かなかった領域に進みつつある.医学教育においては内視鏡外科学という講座こそあまり聞かれないが,一つの大きな分野と考えていいだろう.様々な応用可能性が積極的に検討されてきたが,一方で安全性の確保についても再検討が要求される事例が知られるようになり,今日では個々の症例に対してより慎重な適応判断がなされている.
小児外科領域では,その領域自体の歴史も比較的浅いこと,対象である個々の患者が小さいこと,それぞれの対象疾患数が少ないことなどの特殊性が存在するため,内視鏡手術の応用の普及には時間がかかった.しかし現在では,小児においても内視鏡手術の利点が生かされる場面が良く認識され,様々な術式に内視鏡手術が取り入れられている.欧米,そしてアジア各国の中心的小児外科施設において効率良く症例が集積され,検討が進められているが,設備が整い,技術力も高い小児外科施設が林立する日本においては逆に症例集積に難がある.
このような状況のもとで,常に新たな可能性を切り開いて提示し,日本の小児内視鏡外科をリードしている名古屋大学の内田広夫教授にわが国の小児内視鏡外科の現状を概説していただき,本学会会員の皆様が正確な認識を得て今後の各領域同士の情報交換に役立てていただくことを祈念する.

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