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日外会誌. 117(4): 283-288, 2016


特集

機能温存を目指した胸部悪性腫瘍手術の現況と将来

3.肺がんに対する気管支形成術

広島大学 腫瘍外科

岡田 守人

内容要旨
肺がんの手術成績が向上するにつれ患者の予後が改善され生存期間が長くなり,肺機能の温存は根治性と共に最重要課題である.肺がんに対する気管支形成術は肺機能の温存とがん根治性の両立をめざした術式である.根治性を損なわない気管支形成術の成功のためには気管支鏡や画像による手術適応と術前評価,術前放射線化学療法の必要性の判断,剥離・吻合の手術操作,特に吻合部の血流維持と緊張緩和が重要である.肺全摘術は「Pneumonectomy is a disease in itself.」と言われるように,術後合併症の多さとともに患者のQOL(quality of life)に重大な支障を来たすため,可能な限り回避すべき術式である.これまでの報告では気管支形成を伴う肺葉切除術であるスリーブ肺葉切除術の成績は肺全摘術に比較して劣っておらず,現在では標準術式の一つとなっている.最近ではdouble sleeve,extended sleeve lobectomy,sleeve segmentectomyなどの非定型気管支形成術によって,がん根治性を維持しながら肺機能をできるだけ温存する工夫がなされている.

キーワード
スリーブ肺葉切除術, スリーブ区域切除術, リンパ節転移, 機能温存, 生存

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