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日外会誌. 117(3): 182-186, 2016
特集
高齢者における外科治療の低侵襲化と至適管理
4.心臓血管外科
内容要旨
心臓血管外科領域に血管内治療のアプローチが導入され高齢者への適応が拡大している.弁膜症では高齢者に対して経カテーテル的なアプローチで大動脈弁置換することが可能となり,年々増加する高齢者の大動脈弁狭窄症例のうちの開胸手術のリスクが高いものに対して積極的に施行されている.胸部下行大動脈瘤は,従来からステント治療のよい適応であったが,最も侵襲が大きいとされている胸腹部大動脈瘤や遠位弓部大動置換術に対しても,二期的にステントを留置,あるいはオープンステントを用いることにより,侵襲度を低減することが可能となった.冠動脈バイパス術における心拍動下のバイパス術により高齢者への適応の拡大が進んだが,手術のリスクが高い症例には経皮的冠動脈形成術を含めた術式の選択・検討が必要である.高齢者の心臓血管外科の周術期管理においては特に全身の血管疾患への対応が求められており,術前に冠動脈や脳血管を含めた血管系の精査が重要である.心臓血管外科手術領域への血管内治療の導入はさらに進むと予想され,今後は費用対効果などの検討も含めた議論が望まれる.
キーワード
経カテーテル的大動脈弁置換術, 胸部大動脈ステント, オープンステント, オフポンプ冠動脈バイパス術, 心拍動下冠動脈バイパス術
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