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日外会誌. 117(2): 100-103, 2016


特集

本邦における低侵襲心臓手術の現況

2.総論

慶應義塾大学 心臓血管外科

工藤 樹彦 , 志水 秀行

内容要旨
1990年代から開始された低侵襲心臓外科手術(Minimally Invasive Cardiac Surgery:MICS)は,先人達の弛まぬ努力の恩恵で近年再び脚光を浴び始め,手術の質・安全性としても通常の胸骨正中切開の手術と比較し遜色のないものに近づいてきており,社会的に市民権を得た一定の手術術式になりつつある.確実に低侵襲化が進んだ一因として,安全に手術を施行し得る手術手技・器具の技術革新および体外循環技術の進歩に加え,他科で開発された内視鏡手術手技・器具が心臓血管外科の領域にもたらされた事であり,これによりMICSが,内視鏡補助下から完全内視鏡下MICS手術,ひいてはロボット手術などにも門戸を開いたのである.一方で,今後カテーテル大動脈弁置換術(trans-catether aortic valve implantation:TAVI)に代表されるカテーテル治療の増加も予想されることより,われわれ心臓血管外科医にとっては,より安全・確実で再現性のあるMICS手術手技の確立の重要性が示唆された.

キーワード
低侵襲心臓手術, minimally invasive cardiac surgery, MICS, 内視鏡手術

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