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日外会誌. 116(5): 334-339, 2015


特別寄稿

消化器外科・一般外科領域における抗血栓薬服用患者の周術期管理の実態分析―京大外科関連施設癌研究会アンケート調査から―

1) 小倉記念病院 外科
2) 天理よろづ相談所病院 腹部一般外科
3) 北野病院 消化器外科
4) 京都桂病院 外科
5) 京都大学 医学研究科消化管外科
6) 大津市民病院 外科

藤川 貴久1) , 吉村 玄浩2) , 寺嶋 宏明3) , 間中 大4) , 岡部 寛5)6) , 田中 明1)

I.内容要旨
抗血栓療法(抗血小板療法(APT)・抗凝固療法(ACT))施行患者の外科手術では,梗塞性合併症の予防を最大限に行いつつ出血性合併症も最小限に抑える管理や手技の工夫を要する.京都大学外科関連病院38施設を対象に抗血栓療法の周術期管理に関する調査を施行.ACT例では,ヘパリン置換を行うことが多いが,APT例のうち血栓塞栓高リスク例では,APT休薬後にヘパリン置換を行う施設やAPT継続下に手術を施行する施設がみられた.重篤な出血性合併症はAPT例では49%,ACT例では62%の施設でみられた.将来的な臨床研究への参加につき37施設中21施設(57%)で前向きであり,抗血栓療法管理への関心の高さが伺われた.結論:抗血栓療法の周術期管理では,明確な治療指針が示されておらず,施設間での抗血栓療法管理のばらつきが大きい.安全な外科治療の実践のため,多施設共同研究などの結果をふまえた治療指針の作成が急務である.

キーワード
抗血栓療法, 抗血小板療法, 周術期管理

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