[
書誌情報]
[
全文HTML]
[
全文PDF] (490KB)
[会員限定][
検索結果へ戻る]
日外会誌. 116(5): 297-301, 2015
特集
最新低侵襲手術(ロボット,内視鏡下手術)の現状と将来
3.消化器外科(大腸・小腸)
I.内容要旨
結腸癌に対する腹腔鏡下手術(LS:laparoscopic surgery)は,開腹手術(OS:open surgery)と比較した多くの臨床試験から,低侵襲であり同等の安全性をもつことが明らかとなった.長期成績でも両者に有意差が認められなかったことから,LSは結腸癌の一つの標準治療として認められるようになった.また,LSは直腸癌でも良好な短期成績が得られ,長期成績も開腹手術と変わらないといった報告が多い.腹腔鏡の拡大視効果は,直腸癌手術において骨盤内の視認性や精密な操作に威力を発揮し,高い教育効果も得られる.以上より,LSの適応は直腸癌へと広がりつつある.しかし,難易度が高い他臓器浸潤癌など巨大腫瘍への適応拡大は今後の課題である.
炎症性腸疾患(IBD:inflammatory bowel disease)のうちクローン病(CD:Crohn's Disease)は若年者に多く,高い再手術率が特徴である.したがって整容性に優れ術後癒着の少ないLSは適している.近年,潰瘍性大腸炎(UC:Ulcerative colitis)でもLSの安全性や低侵襲性が明らかとなった.しかし,OSに比して手術時間が長く,大量出血や中毒性巨大結腸症などの緊急手術においては安全性,有用性ともに明らかではない.
近年,単孔式手術やロボット手術など新しい手技が,LSに導入され始めている.現在,様々な臨床研究が進められており,それらの有用性,安全性,適応などについて明らかになりつつある.
キーワード
腹腔鏡下手術, ロボット, 大腸癌, 炎症性腸疾患, 単孔式手術
このページのトップへ戻る
PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。