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日外会誌. 116(4): 232-235, 2015


特集

外科周術期管理の最前線―術後回復力強化プログラム―

3.術前腸管処置は必要か?

1) 三重大学大学院医学系研究科生命医科学専攻病態修復医学講座 先端的外科技術開発学
2) 三重大学大学院医学系研究科生命医科学専攻病態修復医学講座 消化管・小児外科学

小林 美奈子1) , 楠 正人1)2)

I.内容要旨
術前腸管処置には機械的腸管処置(mechanical bowel preparation:MBP)と非吸収性経口抗菌薬を服用するいわゆる化学的腸管処置(oral antibiotic bowel preparation:OABP)がある.MBPは1950年頃より,OABPは1940年頃より行われており,現在までに多くの検討が報告されている.
MBPは1970年頃には下部消化管手術の前に行うべき処置とされていたが,感染率低下の確固たる証明はなく,その後のRCTやメタ解析で否定的な報告が多くなされた.一方,OABPは選択薬剤によって効果に差はあるものの,概ね肯定的な報告が多くなされてきた.このようにMBPとOABP,個々の評価はされてきたが,併用についてはあまり議論されてこなかった.
近年,MBPとOABPを併用するfull bowel preparation(FBP)がコホート研究ではあるがSSIに対し良い結果が報告されており,今後,前向き比較試験により評価されることが期待される.

キーワード
術前腸管処置, 機械的腸管処置, 非吸収性経口抗菌薬, 手術部位感染

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