[
書誌情報]
[
全文HTML]
[
全文PDF] (237KB)
[会員限定][
検索結果へ戻る]
日外会誌. 116(4): 228-231, 2015
特集
外科周術期管理の最前線―術後回復力強化プログラム―
2.周術期の絶飲食は必要か?
I.内容要旨
従来の外科手術管理において,術前の経口補水や消化管吻合術後に早期経口栄養摂取を行うことは慣例的に禁忌とされ,その根拠として以下の2点が主張されていた.
第一に,開腹手術後3~5日間は生理的に麻痺性イレウスの状態になるので消化管を使用することは危険であるという考え方,第二に消化管吻合部位を創傷治癒が完成するまで安静にしておかないと吻合部の縫合不全を誘発する危険性の懸念の2点であった.ところが,Enhanced Recovery After Surgery(以下ERAS)プロトコールの台頭により,従来の常識と全く異なり,逆に術前の経口補水や術後早期からの経口摂取を推奨し,更には腸管運動を促進させるには経口摂取による刺激が最も効果的であるとした.また,ERASプロトコールによって術後合併症と術後在院日数は減少することが明らかとなってきた.
現状では,大腸術後では術直後からの消化管使用に関する安全性は確保されているが,上部消化管に関しては現在検討中の段階である.
キーワード
ERASプロトコール, クリニカルパス, 術後早期経口栄養摂取, 術後麻痺性イレウス, 術後吻合部縫合不全
このページのトップへ戻る
PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。