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日外会誌. 116(2): 104-108, 2015


特集

炎症性腸疾患外科治療の最近の動向

6.潰瘍性大腸炎に対する研究の進歩

三重大学大学院 医学系研究科消化管・小児外科学

荒木 俊光 , 問山 裕二 , 田中 光司 , 内田 恵一 , 楠 正人

I.内容要旨
潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)はいまだ原因不明で,根本的な内科的治療法の開発には至っていないものの,最近のゲノムワイド関連解析や感受性遺伝などの研究の進歩は,この疾患の病態生理を徐々に明らかにしつつある.また,治療のターゲットが絞られるのに伴い,炎症や腸管免疫を制御する様々な新しい治療法が開発され,臨床応用されてきている.さらにエピジェネティクスの研究は,疾患診断の新規バイオマーカーや予後マーカーとして機能することが期待されている.現在,われわれもmicroRNA(miRNA)やDNAメチル化を応用した潰瘍性大腸炎関連大腸癌の選別マーカーなどの開発も進んでいる.まだまだ大腸全摘・回腸嚢肛門吻合術の重要性は変わることはなく,これらの研究によって治療への反応性や癌化の予測が可能となることから,手術適応のより客観的な指標が確立され,また,術後合併症発生のリスクが把握できることからその予防が可能となるなど,外科医への貢献も大きいと考えられる.

キーワード
潰瘍性大腸炎, ゲノム解析, バイオマーカー, microRNA, DNAメチル化

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