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日外会誌. 116(2): 94-98, 2015
特集
炎症性腸疾患外科治療の最近の動向
4.Crohn病腸管病変に対する外科治療
I.内容要旨Crohn病は,狭窄,瘻孔,膿瘍,穿孔,出血などの外科的合併症を高頻度に合併する炎症性腸疾患である.近年,抗TNF-α抗体治療などの導入により治療体系は一変したが,外科治療の重要性が失われたわけではない.手術術式は,腸切除が基本であるが,広範囲腸切除または多数回の腸切除により短腸症候群を招かないよう小範囲切除が原則である.狭窄形成術は適応を選べば吻合と同等の再手術率であり,短い孤立性の小腸狭窄に有効である.一期的吻合が困難な腸管病変に対してはストーマ造設術により全身状態および局所の改善がみられる.一方,ストーマを回避しつつ病変の改善を図る方法としてバイパス手術が用いられるが,バイパス部の合併症および癌化の問題により今日用いられることの少ない術式である.腹腔鏡手術は,非穿孔型,回盲部限局病変,初回手術に対しては良い適応とされる.術後の再手術率は,術後10年で50~60%程度であり,喫煙,穿孔型,再手術例,小腸病変が早期再発のリスク因子である.術後のフォローアップ,寛解維持療法については,現在,定期的内視鏡検査の重要性とチオプリン製剤,生物学的製剤の活用が提唱されているが,今後,検討を要する重要な課題と言える.
キーワード
Crohn病, 腸切除, 狭窄形成術, 術後再発, 寛解維持療法
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