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日外会誌. 116(1): 29-34, 2015


特集

食道胃接合部癌の治療―今後の展望―

3.接合部癌の内視鏡治療

がん研有明病院 消化器内科

藤崎 順子 , 大前 雅実 , 清水 智樹 , 森重 健次郎 , 宮本 勇治 , 谷口 智加 , 堀内 祐介 , 由雄 敏之 , 石山 晃世志 , 平澤 俊明 , 山本 頼正 , 土田 知宏 , 五十嵐 正広

I.内容要旨
本邦での食道胃接合部癌の基準は食道胃接合部(EGJ)の上下2cmの部に中心をもつ癌である.組織型は問わず,主に扁平上皮癌と腺癌が含まれる.扁平上皮癌の内視鏡治療は食道癌取扱い規約に従う.この項では特に接合部腺癌について述べた.腺癌の場合はSSBEに発生したバレット食道腺癌(以下,Barretts Esophageal Adenocarcinoma:BEA)と噴門部腺癌が含まれる.EGJは内視鏡的に柵状血管の下端,もしくは胃大湾の縦走襞の口側終末部より同定する.食道胃接合部腺癌の内視鏡治療の適応や治癒切除基準ははっきりしたガイドラインはない.従って現状では胃癌取扱い規約,食道癌取扱い規約を基準とする.本邦ではESD(Endoscopic Submucosal Dissection)が内視鏡治療の主流を占める.この部分の内視鏡治療にあたっては口側は食道側にあり,管腔が狭く,食道側からのアプローチ,また反転操作による胃側からの切除を行う.偶発症としては出血,穿孔,2/3周以上の切除で狭窄を伴うため,ステロイド局注による対策が必要である.現在この部の腺癌は独立した内視鏡治療の基準はない.

キーワード
食道胃接合部癌, 内視鏡治療, 噴門部腺癌, バレット食道腺癌, Endoscopic Submucosal Dissection(ESD)


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