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日外会誌. 114(6): 327-331, 2013


会員のための企画

がんに対する免疫療法の現状と展望

臨床への応用

東京女子医科大学 先端生命医科学研究所

有賀 淳

I.内容要旨
がん免疫療法は免疫学的視点から3種類に大別される.がん細胞に対する自然免疫応答を増強する方法,がん抗原に対する特異免疫応答を誘導する方法,そしてがん細胞に対する免疫抑制状態を解除する方法である.これらを医薬品製剤としての形状から区別すると,BRM(biological response modifiers),サイトカイン,モノクローナル抗体,がんワクチン,加工免疫細胞に分類することができる.BRM,サイトカイン,モノクローナル抗体の多くがすでに医薬品として承認され臨床で使用されているが,その一方がんワクチンや加工免疫細胞はほとんどが現在臨床試験の最中にあり,その結果が待たれる所である.最近,免疫チェックポイントをブロックする抗体医薬の開発が精力的に進められており,臨床試験結果から非常に臨床効果が期待されている.がん免疫療法は長らく第4のがん治療として期待されてきたが十分な臨床効果の確証が得られなかった.しかし,現在では免疫応答を利用してがんが治療できる可能性が大きく示されつつあり,今後がん免疫療法ががん治療の重要な役割を担うことを強く予感させる.

キーワード
がん免疫療法, がんワクチン, 免疫細胞療法, モノクローナル抗体


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