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日外会誌. 113(6): 515-518, 2012
会員のための企画
肺がんを疑う末梢孤立性病変への対応
胸腔鏡下肺生検の適応
I.内容要旨
肺がんを疑う末梢孤立性肺病変に対する診断方法のひとつに胸腔鏡下肺生検がある.他の診断方法との違いは全身麻酔下で行い,侵襲を伴う手術である点である.一方で,病変によっては診断と治療を兼ねた切除となる利点がある.生検方法には,針生検と肺切除がある.術中針生検は,簡便で自動縫合器を使用しない分だけコスト面でのメリットがあるが,触診不可能な病変では非適応になる点,穿刺による腫瘍細胞の撒布が報告1)
2)
されている点や悪性所見が得られなかった場合に注意が必要である.肺切除による生検はコストが高く切除する際に時間を要するが,十分な検体が得られ腫瘍細胞の撒布の頻度は針生検より少ない.生検時の術式は通常は肺部分切除が選択されるが,深部の病変や腫瘍径が2cm以上の大きな病変では部分切除が困難であり,診断確定と根治切除を兼ねて区域切除術や肺葉切除術を選択することがある.鏡視下手術の欠点は深部に局在する小さな病変は触診が困難である点であり生検する際には工夫が必要である.当科では術前日にCTガイド下にフックワイヤーを病変近傍に留置してマーキングを行い,術中に用指的触診を併用して病変を確認している.また,肺がんでは切除縁の確認が必要であるが,触診が不可能な病変では切除検体での確認が困難な場合があることに注意が必要である.
当科で行っている末梢孤立性病変に対する胸腔鏡下肺生検の適応と成績について概説する.
キーワード
胸腔鏡下肺生検, 術前マーキング, 術中針生検
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