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日外会誌. 113(4): 362-367, 2012


特集

内分泌外科稀少疾患の日本の現状把握と診療指針の作成

4.多発性内分泌腫瘍症2型集計結果

医療法人野口記念会野口病院 外科

内野 眞也

I.内容要旨
多発性内分泌腫瘍症2型(Multiple endocrine neoplasia type 2:MEN2)は甲状腺髄様癌·褐色細胞腫·原発性副甲状腺機能亢進症を主徴とする常染色体優性遺伝疾患であり,MEN2A,MEN2Bに分類される.MEN2Aは甲状腺髄様癌·褐色細胞腫·副甲状腺過形成を発症し,MEN2Bは甲状腺髄様癌·褐色細胞腫を発症し,マルファン様体型·舌粘膜神経腫·腸管神経節腫·角膜神経肥厚などを併発する.また甲状腺髄様癌だけの発症が家系内に観察される場合は,家族性甲状腺髄様癌(Familial medullary thyroid carcinoma:FMTC)であり,これはMEN2の亜型と考えられている.原因遺伝子はRETがん遺伝子であり,exon 10,11,13-16に生殖細胞系列変異が集中し,変異部位と病型には密接な関連が認められる.
MENコンソーシアムでは国内54施設からMEN2あるいはFMTC 275家系505例が登録されており,データを集計したので報告する.臨床病型別では,MEN2A 67.9%(343例),MEN2B 5.7%(29例),FMTC 20.4%(103例)であった.甲状腺髄様癌は91.2%(437/479),褐色細胞腫は45.6%(212/465),原発性副甲状腺機能亢進症は8.1%(37/457)に認められた.RET遺伝学的検査では,98.8%(397/402)に生殖細胞系列変異を認めた.

キーワード
多発性内分泌腫瘍症2型, RET遺伝子, 甲状腺髄様癌, 褐色細胞腫, 原発性副甲状腺機能亢進症


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