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日外会誌. 113(3): 292-296, 2012


特集

日本の心臓·大血管外科レベルは欧米を超えているか?

6.重症心不全疾患に対する「補助人工心臓」治療

東京大学 重症心不全治療開発講座·東京都健康長寿医療センター

許 俊鋭

I.内容要旨
高度心不全症例に対する究極の治療は心臓移植である.しかし,本邦においては極端なドナー心不足のため多くの移植適応症例はその恩恵は受けられていない.心臓移植待機期間は長期化し,特に臓器移植法改正後は移植登録増加のために900日以上の待機が必要である.90%以上の症例が補助人工心臓(VAD)ブリッジ(BTT)を必要とし,800∼900日に亘るBTT期間を経てようやく移植に到達できる.このように長期のBTT期間を日本の移植患者が耐えてきた実績を鑑みた場合,日本のVAD治療成績は優れていると言える.平成23年4月までは,日本で保険使用できたBTTデバイスは体外設置型ニプロ(東洋紡)VADのみであった.左室脱血型ニプロVAD303例のBTT使用成績は,最長補助期間は1,673日(平均427日),72例(24%)が心臓移植に到達,68例(22%)が補助継続中である.ニプロVADは体外設置型としては世界に類を見ない優れた成績をあげている.4種の定常流植込型LVADの本邦臨床治験36症例の6年生存率(Kaplan-Meier)は約70%であり,極めて優れた成績である.7施設で僅か36例の手術経験は初期のラーニングカーブの時期に相当しており,市販後には更に治療成績は向上すると考えられる.心臓移植待機期間が長期にわたるが故に,日本の補助人工心臓治療成績は極めて優れたものとなっている.

キーワード
重症心不全, 補助人工心臓, 心臓移植, ブリッジ使用, Destination Therapy


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