[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (308KB) [会員限定][検索結果へ戻る]

日外会誌. 113(3): 273-277, 2012


特集

日本の心臓·大血管外科レベルは欧米を超えているか?

2.日本の冠動脈外科は世界標準を超えているか?

日本医科大学 心臓血管外科

落 雅美

I.内容要旨
1970年代に我が国に導入された冠動脈バイパス術(CABG)はその後カテーテルインターベンションの嵐にさらされながらも多くの外科医の努力と貢献によって今日まで発展してきた.1980∼1990年代では内胸動脈,右胃大網動脈のグラフトとしての特性に関する研究で我が国の外科医は多くの成果をあげた.今世紀に入ると体外循環を使用しないCABG,off-pump CABGが我が国でも広く行われるようになり日本胸部外科学会の年次調査によれば現在では60%以上の症例がoff-pumpで行われている.これは欧米の15%前後の施行率と比べても格段の差であり,動脈グラフトを駆使して長期予後を良好にする努力が重ねられている.欧米と比較して我が国では施設当たり,外科医当たりの症例数の少ないのが現実である.しかしながら我が国の国民皆保険と言う医療制度の中でそれを逆に利点とすることによって手術成績は世界をリードするまでに至っている.

キーワード
冠動脈バイパス術, Off-pump CABG, 動脈グラフト, 内胸動脈, 右胃大網動脈

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。