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日外会誌. 113(2): 241-251, 2012


特別寄稿

東日本大震災における手術室東北外科集談会からの報告―将来の激甚災害にそなえるために―

1) 東北外科集談会 
2) 弘前大学 手術部
3) 弘前大学 心臓血管外科
4) 東北大学 
5) 東北大学 手術部
6) 東北大学 腫瘍外科
7) 弘前大学 医学研究科社会医学講座

福田 幾夫1)2) , 橋本 浩1)2) , 鈴木 保之1)3) , 里見 進1)4) , 海野 倫明1)5) , 大内 憲明1)6) , 中路 重之7)

I.内容要旨
目的と方法.今後の災害にそなえるため,東日本大震災における手術室での被災状況を,東北外科集談会の施設会員155施設を対象にアンケート調査を行った.
結果.アンケート回収率は70.3%であった.83施設で地震発生時に手術が行われており,41施設で手術中に生命の危険を感じるほどの揺れを感じた.90施設で停電となり,非常用電源に切り替わらなかった施設が9施設あった.44施設で棚から機材が落下し,14施設で医療機器や点滴台が転倒,5施設で壁や天井の損傷のため術野の清潔が保てなかった.電気·水道などの障害により手術室の運営が困難になった施設が多かった.交通網の遮断のため,被災地の後方でも物流の障害を来たした.
結論.東日本大震災においては,手術室の運営は非構造的障害によって大きく影響を受けた.分散型のサプライ体制を構築すること,災害時には各地域で物資を供給しあう体制を構築することが重要である.

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