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日外会誌. 113(1): 58-61, 2012


症例報告

小腸が脱出した複合型(IV型)食道裂孔ヘルニアの1例

社会保険船橋中央病院 外科

大塚 恭寛 , 小笠原 猛 , 中野 茂治 , 志田 崇 , 野村 悟 , 佐藤 嘉治 , 高橋 誠

I.内容要旨
症例は変形性腰椎症による亀背を認める78歳女性で,腹痛を主訴に当院を救急受診した.全身状態は良好で,造影CTにて後縦隔に胃と拡張した腸管係締を認め,イレウス管造影にて食道裂孔から縦隔への胃と小腸の脱出を認め,複合型(IV型)食道裂孔ヘルニアによる閉塞性イレウスと診断された.待機的に開腹手術を施行すると,胃が体部まで滑脱し,その左前方の食道裂孔開大部から小腸(Bauhin弁より50cmの部から口側50cm長の回腸)が縦隔に脱出していたが,いずれも容易に腹腔内に還納され,血行障害は認めなかった.ヘルニア門は径7cmであった.ヘルニア嚢を切除し,開大した食道裂孔を直接縫縮してヘルニア門を閉鎖し,逆流防止術として胃底部を横隔膜に縫着し,5cm長の小腸器質的狭窄部を切除した.術後6年の現在,再発徴候を認めず経過良好である.

キーワード
複合型食道裂孔ヘルニア, イレウス, 小腸

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