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日外会誌. 113(1): 33-38, 2012


会員のための企画

外科周術期感染制御

標準的な外科周術期感染対策

1) 兵庫医科大学 感染制御学
2) 兵庫医科大学 下部消化器外科

竹末 芳生1) , 中嶋 一彦1) , 池内 浩基2)

I.内容要旨
現在米国ではsurgical care improvement project(SCIP)が2004年より実施されている.感染症対策としては,予防抗菌薬使用法,術中保温,血糖管理,適切な除毛処置が挙げられている.(1)予防抗菌薬は術前1時間以内に投与を行い,原則として術後24時間を越えての使用は認められていない.しかし心臓手術では24時間以内の投与でSSIが高率となっている.バンコマイシン予防投与の適応はβラクタム薬アレルギー患者,MRSA術前保菌が証明された場合となる.またMRSAによる感染が高率な場合もハイリスク手術ではInfection Control Teamと相談し使用することが勧められる.(2)術翌日朝の血糖は180-200mg/dL以下とする,(3)周術期を通して深部体温を36℃以上に保つ,(4)不必要な除毛は避ける,(5)手術室での術野皮膚消毒においてポビドンヨードとの比較試験で,SSIは2%クロルヘキシジン·アルコールで有意に低率となるが,日本では1%クロルヘキシジンしか使用できない,(6)ステイプラーによる皮膚閉鎖はSSIのリスクとなる.筋膜縫合は,創の長さの4倍以上の長さのモノフィラメント合成吸収糸を用い連続縫合にて行い,縫い幅(縫い代)は小さく(5-8mm)とる.

キーワード
手術部位感染, 術後感染予防抗菌薬, 血糖コントロール, 低体温, 創閉鎖


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