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日外会誌. 113(1): 18-21, 2012


特集

進行胃癌治療の最前線

5. 胃癌腹膜播種に対する治療戦略

1) 東京大学 外来化学療法部
2) 東京大学 腫瘍外科

石神 浩徳1) , 甲斐崎 祥一2) , 北山 丈二2)

I.内容要旨
胃癌腹膜播種に対する標準治療は化学療法であるが,十分なエビデンスのあるレジメンは存在せず,進行再発胃癌の標準治療であるS-1+cisplatin(CDDP)併用療法が行われている.一方で,腹膜播種に対するタキサン系抗癌剤腹腔内投与の有用性が報告され,化学療法と手術による集学的治療の試みが行われている.
当院ではS-1+paclitaxel(PTX)経静脈·腹腔内併用療法を考案し,第I相試験によりPTX腹腔内投与の推奨投与量(RD)を20mg/m2に決定した.第II相試験には40例が登録され,腹水細胞診陰性化を86%に認め,生存期間中央値(MST)は23.6カ月であった.また,化学療法により腹膜播種が消失または著明に縮小した52例に対して胃切除を施行し,MST 34.9カ月という成績を得た.本併用化学療法と胃切除による集学的治療は安全かつ有効と考えられ,高度医療制度下に本併用化学療法とS-1+CDDP併用療法を比較する第III相試験を開始した.

キーワード
胃癌, 腹膜播種, 腹腔内化学療法, 胃切除, 集学的治療


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