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日外会誌. 113(1): 8-11, 2012


特集

進行胃癌治療の最前線

3. 進行胃癌に対する補助療法

神奈川県立がんセンター 消化器外科

円谷 彰

I.内容要旨
切除可能な進行胃癌に対する手術(胃切除+D2リンパ節郭清)の重要性はゆるぎないが,日韓と欧米の手術による局所コントロールの程度には大きな隔たりがあった.D2の優越性は多施設共同の大規模RCTでは証明されていないが,D2が否定されたDutch試験でも,その後の長期follow upの結果D2群の再発が有意に少ないことが判明した.これを受け,ESMOやNCCNのガイドラインでもD2が推奨されるに至り,世界的なコンセンサスができつつある.一方,固形癌に対する腫瘍学の焦点は根治が望める集学的治療にあるべきで,複数の大規模ランダム化比較試験(RCT)の結果,効果的な補助療法が確立されてきた.胃癌に関しても,米英日の順で異なるエビデンスの結果が(それぞれ術後補助化学放射線·術前後補助化学·術後補助化学療法)標準として導入された.本邦の標準は術後1年間までのS-1となったが,国内外の他の試験の結果も考慮しつつ,至適なレジメンについては,特にstage III以上の予後不良群に対して更なる検討·RCTが必要である.また,手術による局所コントロールの程度が補助化療の効果にも影響すると思われるが明らかではなく,今後は放射線や分子標的薬なども加味した,世界標準の確立が望まれる.

キーワード
胃癌, D2郭清, 補助化学療法, 補助化学放射線療法, 術前化学療法

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