[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (214KB) [会員限定][検索結果へ戻る]

日外会誌. 112(6): 377-381, 2011


特集

頸動脈狭窄症の最近の動向

3.頸動脈狭窄症自然癧と内科的治療のオーバービュー

東京大学 血管外科

重松 邦広

I.内容要旨
頸動脈狭窄症は虚血性脳血管障害の20%程度の原因とされ,近年の急激な高齢化の進行やアテローム血栓症の増加により今後さらに頸動脈狭窄症に起因する虚血性脳血管障害が増加することが予想される.その自然予後は,狭窄度により規定され,狭窄が高度になるほど脳梗塞·一過性脳虚血発作などの発症リスクは高まり,その発症率は60%以上狭窄で年率約2%,60%未満で年率約1%とされる.従来,頸動脈狭窄症において有症候性/無症候性や狭窄度の組み合わせによりどのような症例に外科的治療が有用であるか,さらには外科的治療手段として頸動脈ステント留置術が頸動脈内膜摘除術と同等かなどの検討が進められてきた.しかし,従来の抗血小板薬治療に加えて,降圧剤としてのアンジオテンシン受容体拮抗薬やアンジオテンシン変換酵素阻害薬,脂質代謝異常に対してのスタチン,糖尿病治療薬などを強力に組み入れたbest medical managementにより無症候性頸動脈狭窄症においては従来の外科的治療群を凌駕する成績が出されるようになってきた.このため近年,頸動脈狭窄症に対する治療としてbest medical managementが無症候性は言うまでもなく症候性症例の基礎治療として位置づけられるようになってきており,今後外科的治療との組み合わせも含めた頸動脈狭窄に対する治療方針の中で重要な役割を果たすことが予想される.

キーワード
頸動脈狭窄症, 抗血小板薬, スタチン, best medical management

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。