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日外会誌. 112(4): 225-230, 2011
特集
先天性心疾患合併小児外科疾患の最新の治療戦略
2.先天性心疾患を増悪させる小児外科疾患とその外科治療―治療時期と予後―
I.内容要旨
先天性心疾患の合併は血行動態を不安定にすることなどにより小児外科疾患に影響を及ぼすことは明らかではあるが,殆どの症例では,各々の最適な時期に外科治療が行われている.一方,逆に,合併する小児外科疾患が心疾患を増悪させるため,その治療時期及び方針に考慮が必要となる症例がある.自験例をもとに,心疾患に影響を与える小児外科疾患の治療時期を中心とした治療戦略について考察した.呼吸器疾患では,初回手術時期は予後に影響しないものの,気道狭窄病変に対しては,心臓外科,小児外科の同時手術を考慮する必要がある.特に,気管修復術が必要な症例では,手術を含めた周術期管理に専門的な小児呼吸器外科手術技量が必要で,心臓外科医と小児外科医のみならず施設間の連携も強化して診療を進めることが重要である.消化器疾患では,両疾患群が相互に影響するのではないが,動脈管開存(PDA)が症候化した低出生体重児で術後全身状態が重篤となる症例が問題となった.右側相同(rt. isomerism)では,腸回転異常,食道裂孔ヘルニアの合併を念頭におき,それらの早期診断と適切な外科治療が肝要である.心疾患に影響を与える小児外科疾患を考慮して,適切な手術時期,治療体系を構築することは重要であるが,遠隔予後まで考慮すると,原疾患の治療のみならず,呼吸器感染症や中枢神経疾患の合併の予防,克服も念頭に置く必要がある.
キーワード
気道狭窄病変, 低出生体重児, 右側相同, 腸回転異常, 食道裂孔ヘルニア
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