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日外会誌. 112(3): 182-186, 2011


特集

膵癌診療の現況と課題

6.腹腔鏡下膵切除術

千葉県がんセンター 消化器外科

趙 明浩 , 山本 宏 , 貝沼 修 , 太田 拓実 , 朴 成進 , 柳橋 浩男 , 有光 秀仁 , 池田 篤 , 早田 浩明 , 鍋谷 圭宏 , 滝口 伸浩 , 永田 松夫

I.内容要旨
膵臓内視鏡外科の最大のテーマの1つは,内視鏡手術を通常型浸潤性膵管癌にまで適応拡大できるかどうかである.胃癌や大腸癌と異なり膵癌は診断時ほとんどが進行癌であり,浸潤傾向が強く,大血管や他臓器に浸潤していることも稀ではない.さらに随伴性膵炎のため高度な炎症を伴い,鏡視下に剥離することが極めて困難である.われわれは術前T3N0M0以下と診断した通常型浸潤性膵管癌に対して腹腔鏡下の幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を8例,膵体尾部切除術を2例施行した.他の疾患の腹腔鏡下膵切除に比べて手術時間は延長し,出血量は多い傾向があった.しかしPancreatic fistulaを合併した2例を除けば比較的短期間で退院可能であった.6例にR0手術ができたが,残りの4例はR1手術であった.2例が肝転移,2例が腹膜播種で再発(うち1例は手術時の腹腔内洗浄細胞診陽性),3例が現病死している.まだ症例数が極めて少なく,観察期間も短いので,現時点で通常型浸潤性膵管癌への適応拡大を評価することは困難であるが,症例を厳選すれば内視鏡手術でもR0手術が達成できており,近い将来に膵癌のminimally invasive surgeryとし腹腔鏡下膵切除が認知されていくことが期待される.

キーワード
腹腔鏡, 膵癌, 腹腔鏡下膵切除, 低侵襲手術


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