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日外会誌. 111(6): 368-372, 2010


特集

消化器外科における栄養管理の現状と展望

5.各種病態における術前·術後栄養管理 
c)下部消化管疾患

三重大学大学院医学系研究科 消化管·小児外科学

三木 誓雄 , 楠 正人

I.内容要旨
大腸癌患者の約10-20%は,比較的早い段階から全身性炎症反応とprotein calorie-malnutritionを伴う「悪液質」を呈する.この病態は単なる低栄養とは異なり,宿主は癌細胞が産生する大量の炎症性サイトカイン·腫瘍増殖因子に晒され,エネルギー代謝異常と同時に抗腫瘍療法抵抗性をも有している.また手術侵襲下に異常に亢進した炎症反応を惹起し,術後早期に高率に感染性合併症を発症する.この患者群は,単なる栄養補給だけでは病態の改善は期待できず,予後を向上させるためには癌組織·全身免疫担当細胞における炎症性サイトカイン産生の制御とともに,分子標的治療を加えた積極的な集学的治療を必要としている.

キーワード
悪液質, 大腸癌, サイトカイン, 宿主―腫瘍相互反応


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