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日外会誌. 111(5): 306-310, 2010


外科学会会員のための企画

National Clinical Database構築に向けて

全体構想

1) 東京大学大学院医学系研究科 小児外科
2) 東京大学大学院医学系研究科 医療品質評価学講座

岩中 督1) , 宮田 裕章2)

I.内容要旨
外科医不足,医師の地域偏在,職場環境の劣悪化など,外科医療体制は危機に陥りつつあるが,このような現状の中で患者に最善の医療を提供していくためには,科学的根拠に基づいた施策の提言を行うことが不可欠である.本当に外科医は足らないのか,各領域の専門医が適正に配置されて適確な外科治療を提供しているのか,個々の医療施設や地域の医療水準は維持されているのか,などの疑問に答えるために,外科関連専門医制度委員会の主導のもと,日本外科学会とそのサブスペシャルティの8学会が協働して,手術症例を中心とした臨床データベースを設置することになった.このデータベースは,それぞれの学会が設置する専門医制度と密接に連携し,専門医制度の申請·更新に必要な手術実績を提供しつつ,各領域の医療水準評価や様々な臨床研究支援をも行える構造とした.現在,症例登録に必要な各領域の様々な入力フォーマットの開発を進めつつ,日本外科学会と各サブスペシャルティ学会間の会員情報のすりあわせなどの作業を行っている.2011年1月の入力開始に向けてモデル入力とそのデータの検証を今後予定しているが,本稿の目的はこのデータベースの背景,構造,運営組織などについて本学会会員に周知を図るとともに,このデータベースの意義をご理解いただいて今後の協力を要請するものである.

キーワード
手術症例, データベース, 外科専門医, subspecialty(サブスペシャルティ)


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