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日外会誌. 111(4): 216-219, 2010


特集

外科領域におけるコメディカルとの役割分担―現況と未来

3.臨床工学技士の立場から

社会医療法人雪の聖母会聖マリア病院 臨床工学室

井福 武志 , 蓑田 英明

I.内容要旨
患者の命を預かる医療機器のエキスパートとして,臨床工学技士が誕生して22年が経過した.その間,医療環境は法律の改正,省令,規制等の告示がなされ変遷の一途にある.コメディカルの一員である臨床工学技士にも“新戦力”としての貢献が社会的に期待されつつある.一方では深刻な医師不足等,様々な喫緊の問題も生じている.それらの解決策として「チーム医療の推進に関する検討会」においても,役割分担が検討されている.
臨床工学技士は,周術期における各種手術治療装置(電気メス,レーザーメス,高周波メス,冷凍メス,超音波手術装置等)や治療支援装置(内視鏡関連装置,顕微鏡装置,自己血回収装置,手術用ナビゲーション装置,ロボット等)などのハイリスク治療機器を用いる手術に対して配置が要件とされている.加えて「手術助手」,「PA制度」,「麻酔士」など,臨床工学技士の業務指針にない業務への対応を期待する意見もあり業務拡大の傾向にある.
これらの背景の下,医療安全の確保及び医師等の負担軽減等を推進するためにも,臨床工学技士の手術室(周術期)業務ガイドラインや業務指針の改定が急務である.同様に法的整備,社会的理解と同意,育成教育体制の確立やその他専門職との業務の役割分担等を整備した上で新たな業務への参画が大切であり,今後臨床工学技士がチーム医療の一員として貢献できる前提条件であると考える.

キーワード
チーム医療, 臨床工学技士業務指針, 手術室業務ガイドライン, 周術期, Physician Assistant


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