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日外会誌. 111(2): 102-107, 2010


外科学会会員のための企画

小腸移植の現状と将来展望

臨床

東北大学大学院 医学系研究科小児外科学分野

和田 基

I.内容要旨
臨床小腸移植は拒絶反応のコントロールが困難で,移植後の感染症,合併症も多いことから,その成績は他の臓器移植の成績と比べて満足できるものではなかった.しかし免疫抑制療法,移植周術期管理,拒絶反応モニタリング技術の進歩などにより近年その成績は向上し,腸管不全の有力な治療方法となっている.
世界的には年間約200例の小腸移植が行われるようになり,その成績は国際小腸移植登録(Intestinal Transplant Registry)によりデータの集積と解析が行われている.日本国内ではこれまで保険適応の問題や小児の脳死ドナーの問題などから小腸移植の実施数は極めて少なかったが,今後国内においても成績の向上と症例数の増加が期待される.
本稿では臨床小腸移植の国内外の現状について概説し,特に国内の臨床小腸移植を推進するうえでの問題点と将来の展望について考察する.

キーワード
小腸移植, 腸管不全, 短腸症候群, 拒絶反応


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