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日外会誌. 111(1): 13-17, 2010


特集

消化器外科術後食に関する新しい考え方

3.鏡視下手術がもたらしたもの 
2)胃切除術

帝京大学 外科

福島 亮治

I.内容要旨
消化器外科手術後はまずは絶飲食(nil by mouth)として排ガスを待ち,排ガスがあった時点で飲水開始,次いで流動食を開始して段階的に食事アップをして行くというのがこれまでの外科医の最も基本的な常識である.これは,術後腸管麻痺の存在や消化管吻合に対する負担を軽減するために当然のことと考えられてきた.術後の絶飲食や段階食の有用性に関する明確なエビデンスは実は存在しないものの,古くからの慣習は容易に受け入れられ,つづいてきた.しかし,腹腔鏡手術という新しい技術の普及に端を発し,術後早期の経口摂取や術後段階食の廃止が開腹の婦人科手術や大腸切除術でも行われるようになり,今や上部消化管の開腹手術においても幾つかのエビデンスが認められるようになった.上部消化管,特に胃の手術は最初に食物が通過する臓器の手術であり,食事の影響を最も受けやすい術式と考えられるが,さらなるエビデンスを蓄積し,古くからの慣習を再考する余地があると考えられる.

キーワード
nil by mouth, 術後腸管麻痺, 術後早期経口摂取, 流動食, Patient-controlled feeding


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