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日外会誌. 110(6): 348-352, 2009


特集

胸膜中皮腫の治療法の動向

7.胸腔内温熱化学灌流療法

埼玉医科大学国際医療センター 呼吸器外科

坂口 浩三 , 金子 公一

I.内容要旨
胸腔内温熱化学灌流療法(以下IPHC:intrapleural perfusion hyperthermo-chemotherapyと略す)は熱耐性の抗癌剤と温熱溶媒を一定時間胸腔内を灌流させる手法であり,胸膜悪性病変へ濃度の高い抗癌剤を直接曝露させ温熱との相乗作用による抗腫瘍効果と,胸膜炎惹起による胸膜癒着効果を目的とした局所療法である.胸膜中皮腫治療における本法の位置づけは(1)非手術例に対する胸水のコントロール,(2)胸膜肺全摘予定症例の術前胸膜癒着,(3)根治術後の潜在性腫瘍遺残に対する補助的局所化学療法の3つである.前2者は胸腔鏡下胸膜生検後にひきつづき行い胸膜癒着に主眼をおいている.後者は腫瘍死滅を狙った積極的化学療法である.IPHCは胸膜中皮腫の集学的治療の一選択肢として意義があると考える.

キーワード
シスプラチン, 胸腔内温熱化学灌流療法, 胸水コントロール, 抗腫瘍効果, 集学的治療

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