[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (481KB) [会員限定][検索結果へ戻る]

日外会誌. 110(4): 179-183, 2009


特集

小児外科疾患術後患者の長期予後―成人期における諸問題―

2食道閉鎖症

兵庫県立こども病院 外科

横井 暁子 , 西島 栄治

I.内容要旨
先天性食道閉鎖症は胎生4週頃からおこる気管と食道の分離不全による形成異常と考えられている.この時期には他の重要臓器の形成も行われるため,心,直腸肛門等の合併奇形が多いのが特徴的である.また染色体異常,遺伝性疾患の一表現型として合併することも多い.治療は,最も頻度が高いC型食道閉鎖症ではほとんどの場合上下の食道盲端のギャップが短いので,胸膜外アプローチにて気管食道瘻を切離して一期的に食道食道吻合を行う.低出生体重児,肺合併症,重症の先天性心疾患などハイリスクな症例にはまず気管食道瘻を切離し,人工換気療法を確実に実施できる病態に変更した上で,状態が安定した後に二期的に食道食道吻合術を行う.ロングギャップ症例では,自己食道を温存する方法として,胸壁外食道延長術,Lividitis法やCollis-Nissen法を追加し,食道食道吻合を行う.自己食道を使用できない症例には,胃管,全胃,結腸,空腸等の代用食道を利用する.成人期にいたるまでの長期の問題としては食道蠕動障害による嚥下障害,胃食道逆流症(以下GER),Barrett上皮化生による発癌のリスク,代用食道の過長,拡張,癒着などによる通過障害があげられる.また開胸創による胸郭変形,側彎も強度になれば治療を要する.このため合併奇形のない症例であっても,成人期までの長期のフォローが必要な疾患である.

キーワード
食道閉鎖症, 長期合併症

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。