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日外会誌. 110(2): 82-85, 2009


特集

Sentinel Node Navigation Surgeryの進歩

6肺癌―肺癌におけるセンチネルリンパ節の意義と新たな展開―

秋田大学 医学部外科学講座呼吸器外科学分野

南谷 佳弘 , 小川 純一

I.内容要旨
センチネルリンパ節(SN)概念が提唱され,乳癌や悪性黒色腫に対する手術でリンパ節郭清省略に臨床応用されている.SNとは悪性腫瘍からのリンパ流が最初に到達するリンパ節のことである.SNに転移が無ければ下流のリンパ節には転移が生じないとするのがSN概念である.肺癌にもSN概念が成立することが多くの研究者から肯定的に報告されている.一般にSNの同定には色素やラジオアイソトープ(RI)が用いられているが,胸腔内のリンパ節は炭粉沈着のため色素を用いることはできない.そのため欧米では肺癌のSN同定にはRIがおもに術中に用いられている.しかし日本ではRIの使用が法律で厳しく制限されているため,術前にCTガイド下にRIを投与する必要があり,煩雑な操作を要する.肺以外の臓器ではSN概念はリンパ節郭清省略に応用されている.しかし肺癌の縦隔リンパ節郭清は乳癌や悪性黒色腫の手術でみられる上肢や下肢の浮腫,神経障害といった深刻な合併症は報告されていない.またSN同定自体が煩雑な操作を必要とするため,SN概念をリンパ節郭清省略に応用するという考えには欧米を含めて呼吸器外科医は消極的である.しかしSN同定が容易になれば他臓器と同様にリンパ節郭清省略に応用されるかもしれない.また最近,微小転移検出への応用と区域切除への応用という新たな応用法が報告されており,今後肺癌のSN同定が普及することを期待したい.

キーワード
センチネルリンパ節, 肺癌, リンパ節郭清, 微小転移, 区域切除

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