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日外会誌. 109(6): 357-360, 2008


外科学会会員のための企画

日常診療で知っておきたい法知識

医療現場における成年後見制度―同意能力を欠く患者の「利益保護(権利擁護)」のための方策―

仁邦法律事務所弁護士 

蒔田 覚 , 墨岡 亮

I.内容要旨
インフォームド·コンセント(IC)を有効に行うには,患者が同意能力を有していることが不可欠である.ところが,医療現場では,認知症高齢者など同意能力を欠く患者も少なくない.成年後見法制定に際して,成年後見人等への医療行為の「同意権付与」も検討されたが,医的侵襲に関する決定·同意についての社会一般のコンセンサスが得られていない状況では時期尚早であるという理由で「同意権」に関する規定の導入は見送られた.「同意能力」を欠く患者に対して侵襲を伴う医療行為を行う必要が生じた場合の取り扱いについての定説はなく,医療現場においても混乱がみられる.
ICにおける「同意」は患者の「自己決定権(人格権)」から導かれるものである.この場合の「同意権」は一身専属的なものであり,他者において代理行使できる性質のものではない.そこで,自己決定権を行使できない状況にある患者(一時的に意識を失った患者,乳幼児,認知症高齢者等)については,「患者の利益保護(権利擁護)」のための手続(プロセス)という別の角度から捉える必要がある.
具体的には,患者本人の利益を最大限に尊重しつつも,医療現場,家族·成年後見人等の負担を軽減する方向での枠組みの構築が望まれる.

キーワード
成年後見, インフォームド·コンセント(IC), 同意能力代諾, 患者の権利保護


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