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日外会誌. 109(6): 343-348, 2008


特集

日本と世界の各種外科疾患における診断·治療戦略の相違

6.肝臓

京都大学大学院医学研究科 外科

猪飼 伊和夫

I.内容要旨
B型·C型慢性肝疾患は肝発癌の高危険群であり,予後改善のためには高危険群に対するサーベイランスが極めて重要である.また,治療法の選択においては癌の進行度と肝障害の程度の2つの因子を考慮に入れる必要がある.2005年に本邦では厚生労働省研究班から「科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン」が,また米国肝臓学会からは「AASLD Practice Guideline;Management of Hepatocellular Carcinoma」が発表された.この2つのガイドラインにおいてB型またはC型肝炎·肝硬変,その他の肝硬変を対象としたサーベイランスで超音波検査の重要性や典型的な肝細胞癌像の画像診断の診断基準が示されている.しかし,サーベイランスにおける腫瘍マーカー測定の意義や非典型的画像に対しての診断アルゴリズムでは本邦と欧米の考え方には相違が認められる.また生体肝移植が中心の本邦と主に脳死肝移植が施行されている欧米では肝細胞癌の治療戦略における肝移植の役割には大きな相違があり,そのため肝切除や局所療法の選択基準も異なっている.新しい診断技術·治療法の開発や普及状況,肝移植のような社会的要因による治療法の制限,医療経済的側面など各国の医療の置かれている状況によりガイドラインも異なったものになっている.

キーワード
肝細胞癌, ガイドライン, サーベイランス, 診断, 治療


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