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日外会誌. 109(6): 329-332, 2008
特集
日本と世界の各種外科疾患における診断·治療戦略の相違
3.呼吸器―早期肺癌―
I.内容要旨
早期肺癌に対する診断·治療戦略の日本と世界における相違は,肺癌検診の有効性について日本では肯定的に,欧米では否定的に評価されたことに始まったと思われる.その結果,日本では比較的早い時期から早期の肺癌が多く発見され,その病理学的特性が明らかにされた.積極的縮小切除術としての区域切除の適応は末梢発生で2cm以下のT1N0M0に,楔状切除は野口分類タイプA,Bに限定された.両縮小手術の術後成績はともに肺葉切除術と同等であった.一方,北米での縮小手術と肺葉切除術のrandomized control trial(RCT)では3cm以下のT1N0M0が対象となり,区域切除術と楔状切除術の適応を区別しなかったため,T1N0M0においても肺葉切除術を選択すべきとの結論となった.早期肺癌に対する縦隔リンパ節郭清については,日本では郭清範囲を縮小する試みがなされているのに対して,欧米ではサンプリングよりも根治的郭清が必要だという考えに基づき大規模なCRTが実施された.
キーワード
肺癌検診, 積極的縮小切除術, 区域切除, 楔状切除, 縦隔リンパ節郭清
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