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日外会誌. 109(3): 128-132, 2008


特集

消化器神経内分泌腫瘍の診断と治療

3.日本の神経内分泌腫瘍の現状―全国アンケート調査から―

1) 九州大学大学院 医学研究院病態制御内科
2) 九州大学大学院 医学研究院臨床·腫瘍外科
3) 大阪府済生会野江病院 
4) Neuroendocrine Tumor Workshop Japan 

伊藤 鉄英1) , 田中 雅夫2) , 今村 正之3) , Neuroendocrine Tumor Workshop Japan 4)

I.内容要旨
日本における消化管神経内分泌腫瘍(NET)の実態調査を目的にNET Work Japanが設立された.まず,2002年から2004年の全国アンケート調査(消化管カルチノイド,膵内分泌腫瘍)より3年間の症例を集積し解析した.その結果,日本における消化管カルチノイドの部位別頻度はforegut 28.8%,midgut 5.2%,hindgut 66.0%であり,hindgutの頻度が高かった.症候性の頻度は消化管カルチノイド全体で1.7%,遠隔転移率も5.6%と低く,欧米と大きな差を認めた.また,非機能性膵内分泌腫瘍におけるMEN-1合併頻度は日本では5.4%であり欧米の約30%に比較し低率であった.次に,2005年のNET全国疫学調査を無作為抽出法で施行した.日本おける2005年1年間の消化管カルチノイドの受療者数は約4,400人,人口10万人当たりの有病患者数は約3.5人,新規発症数は2.1人と推定された.一方,膵内分泌腫瘍の受療者数は約2,850人,人口10万人当たりの有病患者数は約2.2人,新規発症数は1.0人と推定された.NET全国疫学調査にて,日本におけるNETの最新の疫学的知見を得た.現在,更なるデータ解析を施行中である.

キーワード
消化管神経内分泌腫瘍, 消化管カルチノイド, 膵内分泌腫瘍, 全国疫学調査

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