[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (369KB) [会員限定][検索結果へ戻る]

日外会誌. 109(1): 3-9, 2008


特集

食道癌治療―最近の動向―

2.進行度診断

近畿大学医学部 外科学講座

安田 卓司 , 今本 治彦 , 塩崎 均

I.内容要旨
近年の診断技術の進歩は目覚しく,内視鏡機器の開発やFDG-PET(positron emission tomography),Sentinel node(SN)診断の登場により診断精度は飛躍的に向上した.食道癌治療も低侵襲治療の進歩に伴い治療法の個別化が求められており,正確な進行度診断に基づいて個々に治療を選択していくことが重要である.
T因子診断において拡大内視鏡とAFI(autofluorescence imaging)·NBI(narrow band imaging)の導入はT1の診断精度を格段に向上させた.T2以深は超音波内視鏡(endoscopic ultrasonography:EUS)とMultidetector CTによる診断が標準である.N因子についてはFDG-PETの有用性が期待されたが偽陰性が多く特異度は高いが感度が低い欠点がある.CTで腫大リンパ節を確認しEUSとFDG-PETで転移診断することが必要である.また近年低侵襲治療の適応決定を目的にラジオアイソトープを用いたSN診断が導入され,今後の研究成果が期待される.M因子においてFDG-PETは全身検索が可能でCTに付加的な情報を提供できるので極めて重要である.
術前治療後の効果判定に関してはFDG-PETが極めて有用である.組織学的効果,術後の予後,全身の転移検索と手術適応決定に必要な全ての情報を得ることができ集学的治療における治療法決定の鍵を握る検査である.

キーワード
食道癌, 進行度診断, 治療効果判定, FDG-PET, Sentinel node

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。