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日外会誌. 108(6): 339-343, 2007


特集

新生児外科治療の現況と展望

7.新生児心疾患

岡山大学 心臓血管外科

佐野 俊二

I.内容要旨
1953年Gibbon,1955年Lilliheiによる人工肺を用いた開心術の成功から,50年余りの間に心臓外科治療は目覚しい進歩を遂げてきた.1960年代に我が国を中心として研究,開発された超低体温·循環停止(Deep Hypothermia Circulatory Arrest:DHCA)法は,1970年代初頭にニュージーランド,Green Lane HospitalのBarratt-Boyesの乳児期早期の種々の複雑心奇形手術の成功例に結びついた.(京都大学方式).それ以降,DHCA法の発達·普及により新生児·乳児開心術症例は飛躍的に増加した.1983年Boston小児病院で完全大血管転位症に対する新生児期での根治手術(Arterial switch)が行われ,1989年Castanedaは“The neonate with critical congenital heart disease:Repair-A surgical challenge”を発表した.この論文には現在の先天性心疾患に対する新生児·乳児期早期の一期的根治術に対する考え,成績及び問題点などが詳しく記載されており,1990年代以降の新たな飛躍の指針となった.現在では新生児,乳児期早期の一期的根治術が多くの疾患で試みられ,わが国においても新生児開心術の病院死亡率は18.6%とここ10年の間に著名な改善が見られる.

キーワード
Neonate, Congenital heart surgery, Pediatric heart surgery, Congenital heart disease


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