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日外会誌. 108(6): 313-317, 2007


特集

新生児外科治療の現況と展望

2.新生児外科治療成績の現況

香川大学 医学部小児成育外科

渡辺 泰宏

I.内容要旨
日本小児外科学会の新生児外科全国集計(2003年)のデータにより,日本の新生児外科の現況を概観した.症例数は出生率の低下にもかかわらず,毎回増加を続け,第1回集計の5倍以上となった.新生児外科を行う施設の数は固定してきたが,小児病院と大学病院が漸増し,一般病院が減少傾向にある.しかし,1施設あたりの症例数では,小児病院が漸減し,大学病院と一般病院が漸増している.施設·症例数とも大都市圏に集中しており,西日本で症例数が減少し,施設の過剰傾向がみられる.疾患別では直腸肛門奇形と腸閉鎖·狭窄症が上位1,2位を占め,この傾向は毎回の集計で同じであった.死亡率は集計のたびに改善し,2003年は9.0%であった.従来最も成績の悪かったボホダレクヘルニアは次第に改善しており,今回の集計では第2位になった.変わって消化管穿孔の成績が悪化しており第1位である.低出生体重児の比率が増加していることによるものと思われる.成熟児の死亡率が5.6%であるのに対し,低出生体重児の死亡率は16.2%である.また,重症合併奇形が多い臍帯ヘルニアと食道閉鎖の死亡率は10%以上の高率である.重症奇形合併例と低出生体重児の管理の改善が今後の課題である.

キーワード
新生児外科, 死亡率, 低出生体重児, 合併奇形

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