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日外会誌. 108(5): 267-272, 2007


特集

癌診療ガイドラインが臨床現場に与えた影響

8.膵癌―膵癌診療ガイドラインの特徴とそれに対する感想―

山形大学 消化器·一般外科

木村 理

I.内容要旨
診療ガイドラインは施設間格差をなくし,より質の高い治療を普及することを目的としている.膵癌診療ガイドラインは日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン作成小委員会によって作成され,2006年3月10日に発行された.他の疾患のガイドラインに比較して最も新しいものであるため,多くの欠点を克服したものである.診断法,化学療法,放射線療法,外科的治療法,補助療法の5つの分野からなり,それぞれの分野ごとに3つから6つのCQ(clinical question;クリニカルクエスチョン)計22項目を設定している.推奨度については各ガイドラインと同じ定義で推奨度AからDとなっており,外科的治療によるものはすべて推奨度BあるいはCにとどまった.塩酸ゲムシタビンによる治療が推奨度Aを得たのは,今後の膵癌治療に光明を与えるものと考えられる.ほかのガイドラインと比較して,外部評価を行った点,論文の検索式や検索方法が記載されている点,「明日への提言」が書かれている点,すでに見直しを始めている点などが本ガイドラインの特筆すべき特徴と考えられる.

キーワード
標準治療, 『CQ』(clinical questionクリニカルクエスチョン), “明日への提言”, 外部評価, 法的拘束力, 取扱い規約との整合性


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