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日外会誌. 108(3): 116-119, 2007
特集
癌治癒切除術後サーベイランスの意義と問題点
4.食道癌
I.内容要旨
1984年から2004年までの21年間の当科食道癌治癒切除症例を7年ごとに3期にわけ,各期において初再発の期日と様式が明らかに記録されている症例58,103,95例をA,B,C群として検討した.再発確認後の予後は年を追って改善しており,A,B群とC群の間に統計学的有意差をみた.成績向上が明瞭なのはリンパ行性転移,中でも頸部リンパ節転移であった.血行性転移全体では予後の改善は認められなかったが,肺転移ではC群にA,B群に対する予後の改善をみた.リンパ節再発に対する追加郭清·摘出は20例に行われ,再発後5生率47.4%であった.C群の肺転移6例に鏡視下肺転移巣切除術が行われ,1例が760日目に原病死している以外,最長1,437日,全例担癌徴候なく生存中である.再発診断後の治療が良好な結果につながる再発は,郭清域辺縁のリンパ節再発か,ごく初期の限局した血行性転移である.化学放射線療法や化学療法が比較的有効な食道癌では,再発巣の早期発見が有意義であり,局所·領域的なコントロールと全身化学療法を加えてゆくことで再発後の予後の向上が得られる.術後サーベイランスの実際としては,術後6年間,頸腹部超音波検査,頸部から腹部までのCTを6カ月ごとに行い,疑い診断に対しては2,3カ月後に必ず再検を行う.PETの位置付け,脳転移への対応が現在の課題である.
キーワード
食道癌, 頸部リンパ節再発, 肺転移, 再発巣切除, 再発後生存期間
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