[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (197KB) [会員限定][検索結果へ戻る]

日外会誌. 108(3): 113-115, 2007


特集

癌治癒切除術後サーベイランスの意義と問題点

3.乳癌

愛知医科大学 乳腺·内分泌外科

福富 隆志

I.内容要旨
乳癌においては標準的な術後追跡法というものが現時点では確立していない.1994年にJAMAに2つの大きな無作為化比較試験の結果が公表された.これらのtrialでは,いずれも定期的に画像診断(胸部X線,骨シンチ,肝超音波検査など)を施行する集中追跡群と,基本的には診察のみ(視触診)で必要に応じ,上記検査をおこなう臨床追跡群に分けて検討したところ,両群間に全く生存率の有意差を認めなかった.したがって,現在いずれのガイドラインも乳癌の術後追跡は診察と年1回のマンモグラフィで十分と記載されている.しかし,これらの臨床試験は10-15年以上前に治療された症例を対象とし,その間の薬物療法,画像診断などの進歩が全く無視されている.過剰な医療は避けねばならないが,定期検査を施行することによって,患者に安心感を与えるのも医療の重要な側面であろう.したがって,日本では3-6月に1回程度の腫瘍マーカーのチェック,年1回の胸部X線,骨シンチ,肝超音波(CT)などの画像診断が施行されていることが多い.

キーワード
乳癌, 再発, 術後追跡, ガイドライン

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。