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日外会誌. 108(2): 59-63, 2007
特集
大動脈弁膜症における人工弁の選択―機械弁か生体弁か―
2.小口径人工弁の選択
I.内容要旨
大動脈弁置換術(AVR)は確立された治療法であるが,小口径人工弁によるAVRでは,左室―大動脈間に大きな圧較差(PG)を生じ,左室肥大の回復を遅らせて手術成績を低下させることも予想される.
小口径人工弁については,19mmあるいは21mm人工弁を対象として多くの検討がなされてきたが,19mmおよび21mm人工弁をそのサイズから小口径人工弁として一括して手術成績を検討することには問題がある.
大きな体格に対して過小な人工弁が使用された場合に大動脈弁位において大きなPGが発生し,いわゆる小口径人工弁によるAVRの問題―PPM―が生じる.小口径人工弁の評価には有効弁口面積指数(EOAI)を用いる必要があり,一般にEOAI≤0.85cm
2/m
2の場合にPPMが存在するとされる.
PPMとAVRの手術成績の関係については,多くの報告があるが,それぞれ対象症例,観察期間あるいはPPMの診断基準が異なっていることもあり,欧米においても一定の見解が得られていないのが現状である.一般に,日本人では体格が小さいことからPPMが発生することは少なく,たとえPPMを生じたとしてもその重症度は比較的低く抑えられていることも本邦における小口径人工弁でのAVRの好成績に関係していると考えられる.
PPMを回避するためには同じサイズでもより大きなEOAを持つ人工弁の使用はきわめて有用な手段と考えられる.
キーワード
大動脈弁置換術, 人工弁, Prosthesis-patient mismatch, 有効人工弁弁口面積, 小口径人工弁
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