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日外会誌. 108(1): 15-18, 2007


特集

癌の外科治療におけるインフォームドコンセント

4.大腸癌

静岡県立静岡がんセンター 大腸外科

山口 茂樹 , 森田 浩文 , 石井 正之 , 齊藤 修治

I.内容要旨
大腸癌手術のインフォームドコンセントには,術式選択に関するものと術後合併症,後遺症に関するものがある.術式選択のうち肛門温存手術で問題になるのは2cmのマージンを確保したDouble stapling technique(DST)が困難なときに,手縫い吻合による肛門温存術を行うかどうかである.この際永久人工肛門が必ずしもQOLの点で劣る訳ではないことを伝える必要もある.側方郭清に関しては排尿性機能障害の問題から徐々に適応を絞られる傾向にあり,一方欧米で標準治療とされる術前放射線治療を行うところも出てきた.また近年増加傾向の腹腔鏡手術は適応拡大方向であるが,進行癌で標準治療となるには手技上の安全性の面からもう少し時間が必要であろう.術後合併症は縫合不全や腸閉塞など代表的なもの,また排便障害など必発の術後機能障害についても説明しておく必要がある.大腸癌手術のインフォームドコンセントでは,新しい術式の現状を十分説明,理解してもらい,納得して患者に治療法を選択してもらうことが重要である.

キーワード
大腸癌, インフォームドコンセント, 肛門温存手術, 側方郭清, 腹腔鏡手術

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