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日外会誌. 107(5): 236-240, 2006


外科学会会員のための企画

外来における最新の創処置

創傷管理の新しい考え方

東京慈恵会医科大学第三病院 外科

穴澤 貞夫

I.内容要旨
世界中の医師が行っている創傷管理で,ただ一点これだけはどの医師も共通して行っているという処置がある.それは一体何であろうか? 医師は必ず創傷を何かで覆うということをする.この創傷の被覆(創傷ドレッシング)を筆者は「創傷管理の大原則」と呼んでいる.創傷を覆うのは,覆わずに大気環境にさらすよりもよく治るからである.これは覆うことによって創面に得られる環境が覆わない環境よりも治癒に適していることを示している.19世紀にListerなどによって唱えられた殺菌と創乾燥理論に基づく伝統的な管理法は1960年代の初頭Winterによる創傷の湿潤環境理論によって覆された.さらにこの湿潤環境理論の提唱を契機に,ドレッシングで得られるさまざまな創傷治癒の局所環境因子が次第に明らかにされた,現在創傷治癒の局所環境因子として挙げられているのは,細菌量,温度,酸素分圧,湿潤性,pHの5つである.そしてこれらの環境因子を適正に調整する新たなドレッシング材が開発される一方で,創を乾燥させるガーゼドレッシングは次第に創傷管理の片隅に追いやられようとしている.現在褥瘡のような難治性皮膚潰瘍にはドレッシング材の代表格であるハイドロコロイド材を中心に数日間創を被覆したまま放置する閉塞性ドレッシングが標準化されており,このような創傷管理の進歩を利用することのよって外来における創傷管理は相当程度合理化を図ることが出来る.

キーワード
創傷治癒, 創傷ドレッシング, 創傷管理, 閉塞性ドレッシング, 創傷被覆材

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